【書評倶楽部】京セラ元会長・伊藤謙介 ボクシングのリングに住まう「神 … – 産経ニュース



 深紅のボクシンググローブが印象的な装丁。帯には「奇跡の実話が甦(よみがえ)る」と記されている。

 本書は、それまでのジンクスを破り、チャンピオンベルトが津軽海峡を越え、初の北海道出身の日本チャンピオンが生まれるまでの物語だ。チャンピオンを育てたトレーナーが女性であることも初めてだった。

 ミドル級のチャンピオンだった父は札幌にジムを開いたが病に倒れる。娘のひかるは25歳で跡を継ぎ、寡黙な青年、畠山と命を賭して、タイトルに挑んでいく。そのさまが叙情を抑えた筆致で書き進められていく-。

 私はボクシングに魅せられてきた。本書のページを繰りながら、昭和42年1月3日、愛知県体育館で行われた、ファイティング原田選手とメキシコのジョー・メデル選手のバンタム級世界タイトルマッチを思い返していた。

 当時、結婚して間もない時期だったが、いてもたってもいられず、京都から妻と2人で名古屋に駆けつけたのだ。リングサイドには、三島由紀夫はじめ各界の著名人が並んでいた。

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